コロナ禍のロックダウン期間に2作制作されたうちの1作目となる15th。前作でのモダンな要素を封印し、バンドの生命線である哀愁のメロディを徹底的に煮詰めている。メロディの充実度においては7人編成になった11th : “Albion” 以降の最高傑作だと断言できる。中でもアルバムの核となる “Chapter and Psalm” はメロディだけ見れば全盛期に肉薄する名曲だといえる。
しかし曲の構成やサウンドに目を向けると評価は変わる。イントロなしでサビから始まる曲が多すぎる。同じサビメロが何度も出てくる冗長な曲展開(前述の “Chapter〜” は8分強で6回も出てくる)。ヴォーカルと同じメロディをなぞるだけの安易なキーボード。メロディへの没入を阻害する女性コーラス。などなど、プロデュース面で疑問符のつく場面は多い。本作では充実したメロディで欠点を補っているが、同時制作されたもう1枚のアルバムには不安が残る。